こんにちは、税理士の嶋﨑です。
先日、お客様から従業員が精神的に病んでしまって仕事に出てこないという相談がありました。
新聞の記事でも加重労働による過労死、メンタルヘルス疾患による精神障害等による労災申請が増加しているというものを目にしました。これは他人ごとではないなと、そこで秋元先生に労災保険についてお聞きしたいと思います。
それでは秋元先生よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

最近、過労死や精神疾患による労災申請、労災認定等のニュースを見ることが多いような気がします。
このような事案は増えているのですか。
そうです。
令和3年のデータですが、過労死等に関する労災申請件数は3,099件(前年度比264件増加)で、精神障害の労災申請件数は2,346件(前年度比295件増加)となっています。

かなり増加していますね。
労災は仕事中に怪我をした場合に受けられるイメージなのですが。そもそも、どのような場合に労災保険で給付を受けられるのですか。
はい。
労災保険で保険給付が受けられる場合は次のケースです。
1.仕事中や通勤途中の事故で怪我をした場合
2.業務が原因で病気になった場合

やはり仕事中に怪我をした場合はイメージしやすいですね。
そういえば昔の話ですが、仕事で営業中に転んで怪我をした事があります。その時は会社が手続きをしてくれて治療費を払っていません。これは労災の給付ですね。
そうです。
給付の具体的な内容は多すぎるので割愛させて頂きますが、仕事で怪我をすると治療費がゼロ円です。
治療の為に仕事ができない場合には休業補償等の給付を受けることもできます。

先生、通勤途中での怪我も労災の対象になるのですか。
対象となります。
通勤途中で転んで怪我をしても給付を受けることができます。
ただし、通勤の途中で寄り道(飲みに行く等)をするとその後は通勤ではなくなりますので、給付の対象外になる事もあります。

仕事中や通勤途中の怪我についてはよくわかりました。
よく過労死で労災が認められたニュース等があります。
これは業務が原因で病気になった場合になるのですか。
そうです。
業務が原因で加重労働になり、心筋梗塞や脳梗塞等の病気が発生しその病気が原因で治療が必要になる場合、病気が原因で亡くなり労災認定されます。

なるほどよくわかりました。
ただ、少し疑問に思うのですがどこからが加重労働になるのですか、多少の残業はどこの会社でもあると思うのですが。
はい。
加重労働に該当するか否かについては次の基準があります。
1.発症日の直近1カ月で、残業時間が月100時間を超えていること
2.発症日前2カ月~6カ月間の残業時間が月平均80時間を超えていること

残業時間が加重労働の基準になっているのですね。
そうです。
残業時間のみで必ずしも判定するわけではありませんが、目安となる基準です。
例えば直近1カ月の残業時間が50時間程度で、半年平均でも30時間程度で病気になっても労災として認定される可能性は極めて低いと思います。

先生、他に業務が原因で病気になり労災認定されるケースはありますか。
はい。
最近多いのが精神疾患です。
業務が原因でうつ病等になり自殺したケースでも労災認定されるケースがあります。
精神疾患になった原因が加重労働の場合もありますし、いわゆるパワハラが原因で精神疾患になるケース等も含みます。

会社として注意しなければならない事は何でしょうか。
はい。
まずは加重労働をさせない職場環境にすることが大事です。
加重労働の基準を超えて残業させている会社は労災事故が発生した場合に使用者責任を問われる可能性があります。
労働時間の管理を含めて対応する必要があります。
あと、精神疾患についてですが、加重労働だけでなく、ハラスメント等が原因の精神疾患も含まれますので、会社としては労働時間の管理だけでなくハラスメント対策も必要です。

具体的にはどのような対策が必要ですか。
ハラスメント防止規程の作成、従業員への教育、定期面談を行いハラスメントの問題が発生していないかのヒアリング等が考えられます。

労働時間の管理以外にもハラスメント対策も必要ということですね。先生、本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
今日のまとめ

1.仕事中の怪我、通勤途中、業務で病気になった場合には労災保険の給付を受けることができる。
2.病気には精神疾患も含まれる。
3.加重労働の有無は残業時間が基準となる。
4.会社は加重労働、ハラスメント等が発生しない職場環境にする必要がある。

 

 

  
コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください


Copyright(c) 2024 FARM Consulting Group All Rights Reserved.