こんにちは、税理士の嶋﨑です。お客様と打ち合わせをしていますと社会保険の相談を受けることも多いです。特に奥様がパートタイマーの方で、所得税の扶養は外れたけれども社会保険の扶養はどうなるのかといったものです。そのあたりのことを今日は秋元先生に詳しく聞かせていただこうと思います。それでは秋元先生よろしくお願いします。
 

よろしくお願いします。

社会保険の扶養家族には、一定の年収要件があることは知っているのですが、扶養家族になれる年収要件について詳しく教えて下さい。

はい。具体的には下記の要件を満たす必要があります。

① 年収が130万円未満であること
② 扶養家族の年収が被保険者の1/2未満であること

妻が扶養家族の場合、妻の年収が130万円未満かつ、夫の年収の半額未満ということですね。いわゆる「年収130万円の壁」ですね。

そうです。夫が正社員、妻がパートタイマーである一般的な扶養家族のイメージです。年収基準についてですが、60歳以上の場合は、130万円未満ではなく 180万円未満になります。年収には年金収入も含まれますので、60歳以上で金額の緩和がされています。

扶養家族の年収要件についてよく分かりました。以前から疑問に思っているのですが、扶養家族の「家族」というのは、どこまで認められるのですか。

妻や子供が扶養家族になれることはわかります。私のお客様には、孫を社会保険の扶養家族にしている社長もいらっしゃるのですが。

はい。扶養家族の範囲には、同居要件が「不要である」場合と「必要である」場合があるんです。

①同居要件が不要
 配偶者・子・孫・兄弟姉妹・父母・祖父母・曾祖父母
②同居要件が必要
 ①以外で3親等以内の親族

よく分かりました。扶養家族の範囲はかなり広いですね。

かなり広いと私も思います。健康保険法は大正時代に制定された古い法律です。一家の大黒柱が親族の生活を支えるという当時の考え方が反映されていると思います。

先生、話は戻りますが、いわゆる「年収130万円の壁」についてですが、最近、この年収要件が緩和されたと聞きました。

はい。最近ニュース等でも取り上げられる事が多くご存知の方も多いと思います。
年収要件の緩和についてですが、下記の要件を全て満たす場合に要件が緩和されます。

①職場で人手不足、突発的な業務量の増加等により、収入が一時的に130万円以上となったこと

②本来の雇用契約に基づく年収は130万円未満であること

③一時的に収入が増加した事について事業主の証明があること

 

あくまで人手不足等の特別理由があり、労働時間が増えて年収がたまたま130万円以上になった場合には緩和されるということですね。

そうです。基本給が上がった場合や雇用契約上の労働時間が増えた事により、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合は認められません。
あくまでも一時的な収入増加であることが必要です。今回の緩和措置は同一人に原則として連続2回まで認められます。

よくわかりました。個人的には一時的に年収要件が緩和される事は良いと思うのですが、何というか場当たり的な対応のように思います。

この措置は昨年10月からスタートしました。130万円の壁の影響もあり、パート・アルバイトで働く人が、自主的に労働時間を制限し130万円未満に収入を抑えるケースが増えています。

このような状況では雇用契約上の労働時間が短くなりますので、企業で突発的な事が起こった場合に、130万円以上の年収になるケースは多いと思います。このような事態に対応する臨時的な措置だと思います。

人手不足で会社として働いて欲しい、もっと働きたいのに130万円の壁があるので働けない人がいるのですね。

そうです。個人的には今回の措置では根本的な問題は解決しないと思います。最低賃金は毎年上昇しているのに、なぜ年収制限が130万円に据え置かれているか疑問に思います。

私のお客様でも人手不足に悩んでいる会社が多いです。働いて欲しい会社、働きたい労働者の両方が良くなるような法改正が必要だと思います。
先生、本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

【今日のまとめ】

① 扶養家族の年収要件が緩和された

② 人手不足による一時的な収入変動等の特別な理由があった場合に限り認められる

③ 同一人に原則として連続2回まで認められる


  
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