監査二部門の梅本です。
今回のテーマは、建物に関連する「修繕費」についての取り扱いです。建物を所有していると、よくある修繕として、雨漏り修理、防水工事、外壁塗装があります。年数を経過すると、なにかしらのメンテナンスが必要になってきますよね。これらを修繕費として全額を損金計上するか、資本的支出として減価償却により耐用年数で損金計上するかを見ていきましょう。

まず雨漏り修理です。

これに関しては、雨漏り箇所の補修であれば修繕費になります。雨漏りしていた箇所を、雨漏りしないように元通りに戻しただけ、と考えます。資本的支出と修繕費の判定は、区分が明らかでない部分があるかどうかを実質で判断し、その判定が明らかでない場合に金額判定することとされているため、雨漏り工事の金額の多寡は問題になりません。
 
ただし、複数の雨漏りが発生しそれを防ぐため屋根全体をカラートタンで覆うような工事に関しては、修繕費ではなく資本的支出であると判断された裁決もあり、無条件で修繕費であるとは断定できませんので要注意です。

 
次に防水工事です。

こちらも、通常の維持管理費として修繕費になります。特段高品質な性能の工事でなければ資本的支出には該当しませんが、ウレタン防水から耐用年数の長いアスファルト防水に切り替えた場合などは注意が必要かと思います。

 
最後に外壁修繕です。

考え方は、雨漏り・防水と同じですが、金額が多くなる傾向があるため、判断が難しく感じてしまいます。外壁の塗り替えや、クラックの補修は金額の多寡に関わらず、基本的に修繕費になりますので、しっかりどのような修繕を行ったかを見極める必要があります。

もちろん、異なる種類の外壁材を使用や以前よりもグレードの高い塗料の使用した場合は、資本的支出に該当する可能性がありますので要注意です。

 
以上、今回は建物の修繕を具体例で掘り下げてみました。実際には修繕等をする場合は一つの工事だけでなく、複数の工事を同時に行う事も多いです。それでも請求書は「工事一式」のような記載のされ方の場合もあります。修繕費か資本的支出かの区分をはっきりさせるためには、見積書・請求書から内訳をきっちりと把握することが大事です。
 
また当然ですが、工事が終わってからでなければ、損金にすることは出来ません。工期がどれくらいになり、完了引き渡しがいつになるのか、大きな工事になればなるほど、事前の計画が必要です。また大きな工事は消費税の年税額にも影響を及ぼします。
ぜひ工事の前に税理士にご相談下さい。

  
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