監査二部門の梅本です。

今回のテーマは、「貸倒引当金」です。前回までの「貸倒損失」と似ていますね。

簡単に両者の違いを言いますと、全額が回収できない事が確定した時に全額を経費にするのが、「貸倒損失」、その一歩手前、「回収できそうにないかも・・・」の段階でも一部を経費にできるのが貸倒引当金です。

 

貸倒引当金は、一括評価金銭債権と個別評価金銭債権に区分されます。
一括評価金銭債権は、正常な債権に一定率を乗じて計算するもので、重要性は高くありませんので今回は割愛します。

正常ではないが、全額が回収不要と決まったわけではない債権、「個別評価金銭債権」について簡単に解説していきましょう。

※    分かりやすくする為に、一部省略して記載しています、ご了承下さい。

 

1.下記の事由が生じた場合 → 債権額の50%

・更正手続開始の申立て(会社更生法)
・再生手続開始の申立て(民事再生法)
・手形交換所による取引停止処分 等

 

2.下記の決定により返済が棚上げされた場合 → 債権額-5年以内弁済予定額

・更生計画認可の決定(会社更生法)
・再生計画認可の決定(民事再生法)
・破産手続きにおける債権者集会の協議決定 等

 

3.債務超過等により債権の一部が回収できない場合 → 取立見込みがない金額

 

1・2は、申立ての申請書、決定書などの書類で確認出来るため、判断はそこまで難しくないと思います。3は「債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、事業の好転の見通しがないこと」等が一つの判断基準なのですが、判断が非常に難しいです。計上する場合は、客観的に判断できる資料等を揃えましょう。

個別評価金銭債権の貸倒引当金はあくまで任意ですので、貸倒引当金は計上せず、全額が回収不能になるのを待って貸倒損失として計上することも可能です。

ただし、貸倒損失まで待つのは、かなりの期間を要する為、債権の状態を管理するためにも積極的に貸倒引当金を計上しましょう。

今回の貸倒引当金は、前回までの貸倒損失と合わせて理解することで、債権が現在どのような状態でどのような経理処理が適切なのかを、把握しておくことが大事です。

最後になりますが、各種引当金の中では比較的有名な貸倒引当金も、法人税法上損金算入出来るのは「資本金1億円以下の中小企業等(大法人の100%子会社等は除く)、銀行、保険会社などに限定されています」ご注意ください。

 

  
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