監査二部門の梅本です。
今回のテーマは、「倒産」です。経営者の方にとっては、聞きたくないお話かもしれませんね。もちろん私ども税理士法人にとっても、前向きな話ではありません。とはいえ、自社の倒産のリスク、取引先の倒産のリスクは常に頭にいれておく必要があります。
 
ではさっそく「倒産」について解説していきましょう。
実は、「倒産」という言葉に定義はありません。一般的に、企業が債務の支払不能に陥ったり、事業の継続が困難になった状態を幅広い意味で「倒産」といいます。(中小企業倒産防止共済法第2条には「倒産」の定義は存在しますが、ここでは省略します。)
 
では具体的に、一般的によく言われる倒産とはどのような状態でしょうか。大まかに、会社再建型の「会社更生法」「民事再生法」、会社清算型の「破産」「特別清算」に区分されます。何となく聞き覚えがある用語が並んできますね。また、法的な倒産ではく、私的倒産といって、不渡りによる銀行取引の停止も倒産と呼ばれます。
 
今回は法的な倒産をみていきましょう。難しい用語が多いので簡単なイメージだけお伝えします。
 
まず再建型から。
「会社更生法」は手続き開始時点で、会社の事業の経営権等が、すべて管財人へ委譲されることになり、経営陣の退任が必須になります。適用は株式会社に限定されており、別会社になるくらいのイメージです。
「民事再生法」は、経営陣の退任が強制されておらず、引き続き経営に参画することができます。会社だけでなく、個人も適用することができます。ゆっくりと経営状態を立て直すイメージでしょうか。
 
次に清算型です。
「破産」は破産法に基づく法的手続きで、現在、倒産形態の約8割を占めるといわれます。
中小企業経営者にとっては、一番身近な形態ともいえます。債債務超過などによって継続的な経営が困難になった会社は、破産手続きを行うことですべての資産・負債を清算し債権者に公平に配当します。
「特別清算」は、裁判所の監督下で行われる清算手続きです。破産と異なり、強制的な清算手段ではなく、債権者の同意の上にはじめて成り立つ手続きであり、そもそもこの手続を利用できる場合が限定されています。
 
何となく違いが分かりましたでしょうか。この中から実際に中小企業で多くみられる「破産」について少しだけ触れておきましょう。
 
中小零細企業においては、会社の破産と連帯保証人である経営者個人の自己破産がセットで行われる事も多く、再起が難しくなる課題を抱えています。法人の融資に関して当然のように経営者の個人保証を求めることに関しては、近年諸々の改正が行われています。
 
破産手続きが開始されると、税理士が税務申告する事は出来なくなり、一般的に顧問契約は解除になります。弁護士にバトンタッチし、最終的な顛末が分からないままになってしまう事に関しては、税理士事務所としては責任と寂しさを感じますね。
 
では、最後に取引先が倒産についても少しだけ。
取引先が倒産してしまい、かつ、未回収の債権を有している場合についての税務上の取り扱いは、私の過去のブログ「貸倒損失~債権が回収不能になった場合~」で解説しておりますので、こちらをご覧ください。

  
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