監査二部門の梅本です。

今回のテーマは「貸倒損失」です。
これは皆さまお馴染みの用語ではないでしょうか?会社が所有する取引先等の債権が回収不能になった場合の取り扱いです。

 

新型コロナウィルスが蔓延している状況において、数年間は倒産・休業等が増える可能性が高いです。そこで、万が一債権が回収できなかった場合の取り扱いについて、今のうちから考えおきましょう。
売掛債権・貸付金などが相手方の都合等により回収できない場合、その金額は当然会社として大きな損失ですから、損金の額に算入したいと思うのは当然です。

 

まず大枠をおさえておきましょう。
法人税法においても、貸倒損失は損金の額に算入されるのが原則です。

 

では、実務や税務調査でなぜ「貸倒損失」が良く問題になるのでしょうか。
それは、「貸倒れたかどうかの事実認定が難しいから」だと思います。
何を根拠に回収不要という扱いにしたのかどうか、そこが非常に重要になってきます。

 

そこで有名な「通達」の出番です。通達とは法令の解釈等を示すもので、法人税法基本通達というものが存在し、そこで貸倒れの事実認定に関する一般的な基準が定められており、下記の様に3つに区分けすることができます。

1.法律上、金銭債権を切り捨てをした場合の貸倒れ
2.事実上、金銭債権が回収不能となった場合の貸倒れ
3.形式上、金銭債権が回収不能となった場合の貸倒れ

 

今回は、1法律上の貸倒れ を見ていきましょう。

法律上の貸倒れは大きく2つに分かれます。

1.法的手続きによる債権の切捨て
2.債務者が弁済不能の為、債務者に対して行った債務免除

 

1は分かりやすく、会社更生法等の法律により、債権が切捨てられた場合です。
客観性もあり、貸倒れの損金性が問題になることはあまりありません。

2は、債務超過が相当期間継続し、弁済不能の債務者に対し、債務を免除する通知を行った場合です。
書面で通知をしていれば、客観性は高いようにも思えますが、債務超過の期間や、債務者の資産状況によっては、債務者への「寄付」と捉えられてしまう可能性があります。債務免除は慎重に行ってください。

 

法律上の貸倒れは、比較的客観性が高いため、書類等で正確に情報を把握し、時期を誤らずに経理処理することが大事です。
次回以降は、2事実上の貸倒れ3形式上の貸倒れ、についても解説していきます。

 

 

  
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