監査二部門の梅本です。今回のテーマは、秋冬の風物詩となりつつある「株式会社のみなし解散」です。
 
法人は「設立」し、その後、営業活動を終えるのを「解散」といいます。その解散後に株主等への分配「清算」をし、会社が消滅します。これらは全て法務局で行う登記事項になります。
 
今回のテーマ「みなし解散」とは、この解散を強制的に法務局が行う事をいいます。なぜわざわざこんな事ことをするのでしょう。理由については、法務省のHPより一部抜粋し要約します。
 

株式会社の取締役の任期は、2年~10年とされており、取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要です。つまり株式会社は、少なくとも10年に一度には変更登記がされるはずです。

長期間登記がされていない株式会社は既に事業を廃止し、実体がない状態となっている可能性が高く、このような休眠会社等の登記をそのままにしておくと、商業登記制度に対する信頼が損なわれることになります。

そこで最後の登記から12年経過しているものについて、官報公告を行い、2か月以内に届出や登記の申請がない限り、みなし解散の登記をすることとしています。

 
簡単に言いいかえると、現状活動していない法人は一定期間を経過すると解散、という事ですね。
 
しかし、ある日突然解散させられるわけではありません。毎年10月上旬頃、12年以上登記がされていない株式会社に対して、官報公告が行われ、同日付けで管轄登記所から通知書が届きます。

その年の12月の指定日までに必要な登記(役員変更等)の申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない場合は、解散したものとみなされ、管轄登記所の登記官により職権で解散の登記がされてしまいます。

逆に書面さえ確認できれば・・・、そこで登記又は届出をする事によりみなし解散の危機は免れる事が出来ます。
 
しかし、書面も確認できずに、みなし解散をされてしまった場合はどうなるのでしょう・・・。税務申告はどうなるのでしょうか?強制的にその先の「清算」に進むのでしょうか?
 
まず、解散した場合は、通常の解散と同様に解散日で事業年度が終了します。つまり、中途半端なタイミングでその期が終了し、そこから2カ月以内に税務申告をしなければいけません。実務上この申告が非常に煩雑です。
 
その後の、「清算」については、強制的に行われることはありません。みなし解散の登記後であっても、3年以内に限り株主総会の特別決議によって法人を「継続」することができます。継続登記をすれば、謄本には、「解散 〇月〇日」と「継続 〇月〇日」と記載される事になります。(継続登記は、みなし解散に限らず通常の解散の場合でも可能です。)
 
これを読んで12年も放置なんてありえないって!と思った方も一度謄本を確認してみましょう。役員任期が10年で、住所も変わっていない。そんな法人は気付けばあっという間に12年経っているなんて事も・・・
 
今回あえて触れていませんが、最後に簡単に株式会社以外も書いておきます。
・一般社団法人 みなし解散が5年
・合同会社 みなし解散の規定なし

株式会社との違いは、共に役員に任期によるものです。併せて覚えておいて下さい。

  
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