中国の古いことわざで狡兎三窟 ( こうとさんくつ )「狡兎に三窟あり」というのがあります。この”狡兎”というのはすばしこい兎という意味で、”三窟”とは3つの隠れるための穴を持っているという意味です。安全のために、たくさんの避難場所やさまざまな策を用意するというたとえで、すばしこいうさぎは三つの隠れ穴を持っていて危険から身を守るということわざです。

いくらの値段をつけるのか?この事において不変の現象の一つが、同じ商品やサービスにいくら払うのか?が顧客によって違うことです。値付けにおいて単一価格ではなく、内容を少し変えながら一般的には上、中、下という三段階の価格を設定することで、単一価格では受け入れられなかった顧客を、価格感度に応じて、その商品又はサービスを購入してもらえるという考え方は、ある意味”狡兎三窟”という諺に通ずるのではないかと思います。

ある商品の値付けをする場合、単一価格で4,800円という商品があったとします。この場合心理的にこの商品が高いのか安いのか?という判断はその人によって感度は違います。何と比較するのか、他社のよく似た商品であったり、お客さんのお財布状況であったりするのですが、しかし、この状況でこの商品を買うのか買わないのか?どちらかの選択になってしまいます。そこで、この同じシリーズに3,900円の商品を追加したとします。そうすると、この二種類の商品からの選択となり、4,800円の商品は3,900円の商品に比べて少し高価な商品となり、高価な商品を希望するか、普通の商品を希望するかという判断になります。

 この二種類の商品のうち、4,800円の商品の方が利益率が高いとしたときに、どちらかというとこの商品を買って欲しいのですが、やはり安い方が良いとする顧客も多いかもしれませんし、心理的にはどちらの商品を買って欲しいかというのは、値付けでは誘導しにくいかもしれません。そこで、商品シリーズ第三段の商品の投入です。第三段目として6,200円の商品を並べます。すると、同じシリーズに、A 6,200円 B 4,800円 C 3,900円という商品群ができます。

この三品が揃うと、安すぎると不安になり、高額な物は特別なときに楽しもうという心理がはたらき、結局B 4,800円を選択するという傾向にあるようです。よく言われる”松竹梅”つまり、松コース、竹コース、梅コースで、結局真ん中の竹コースを選択するという心理、選択肢が3種類あると本質的な価値に関係なく中間の選択肢に強くひきつけられるという事です。つまり、最も利益率の高い商品 B を売りたいのであれば、Bを単品で売るのではなく、さらにAというBより高額な商品と、CというBより安価な商品をシリーズに付け加える方が、Bという商品販売への誘導が出来るということになります。

結局、販売価格が高いのか安いのか?はお客さんが決める事であって、市場が決めることではありません。いかに顧客が気にいる価格に見えるかが、最終的に売れるか売れないかを決定します。一つの商品の値付けにおとり的な商品を添える事でその値付けが魅力的な価格になると言うことも、一つの”値付け”ですね。知恵を絞ってみましょう。

やこやこ

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