監査業務担当の清岡です。
決算前になると利益と税金の話が話題の中心になります。特に税金(納税)に対しては、人それぞれの考え方があり、中には税金に対して納税は悪だ!と考える方もごく少数ですがいます。
 
たまにこのような質問があります。
『税金を出来るだけ納めたくないので、その場合は経費を使えば(増加)いいのですよね?』
なかには、
『税金を少なくするために、経費を使ってあげた!』
なんて方もいます。
 
経費の内容はともかく、実際に税金(納税)が少なくなるか検証してみましょう。利益の計算はおおまかに以下の算式です。(ここでの利益とは、法人の決算書の当期純利益、個人の所得金額とします。)

売上-経費=利益

 
さらに、税金の計算も簡略的にすると以下の算式となります。

利益×税率=税金

以上は、みなさんも理解されているとおりの算式と思われます。それをふまえて、下記の例を見てみましょう。

≪条件1≫
売上 100 経費40 税率 30%
100-40=60
60×30%=18(税額)・・・①
 
≪条件2≫
上記の条件に経費を30追加で使用した場合
100-(40+30)=30
30×30%=9(税額)・・・②
 
結果
① - ② = 9(税金が減少)となり税金は減少しました。

質問者の考え方は正解でした!
 
続いては、現金の動きを見てみましょう。条件は同じで、すべて現金取引とします。

≪条件1≫
増加 100(売上)
減少 40(経費)+18(税金)=58
差額 100-58=42(現金残高)・・・①
 
≪条件2≫
増加 100(売上)
減少 40+30(経費)+9(税金)=79
差額 100-79=21(現金残高)・・・②
 
結果
① - ② = 21(現金が減少)となりました。

 
このように見てみると、実際はどちらが良かったのでしょうか?
手元に現金が残ったのは、前者(条件1)でした。税金を少なくすることだけに目が向いてしまうと、税金は少なくなったが手元の現金はもっと少なったと本末転倒になることもあります。
 
ただし、後者(条件2)の追加経費の内容が、必要なことに使用した場合は正しい考えであるでしょう。ですが、『税金の少なくするために、経費を使ってあげた!』という考え方の場合は、不要な支出であったり、そもそも経費として認められない場合もあります。
 
このように目先のことだけにとらわれずに、全体的に考えて正しい節税と正しい会計処理を行うことが資金繰り(会社経営)のためにも良いのではないでしょうか。

  
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