監査二部門の梅本です。
今回のテーマは「法人の青色申告の取消し」です。前回お伝えしたように、「青色申告」により、赤字の繰越等のメリットがあり、ほとんどの法人が青色申告の申請をし、承認を受けています。
 
しかし、その青色申告も一定の場合には取り消される事があります。ではどのようなケースで取り消されるのか見ていきましょう。
 

(1)帳簿書類の備え付けがされていない場合

帳簿書類の備付けが適切に行われていない場合、税務調査に当たり書類の提示を求めたにもかかわらず調査対象者である法人がその提示を拒否した場合、青色申告の承認の取消し対象となります。

(2)税務署長の指示に従わなかった場合

帳簿書類の備付け等について、税務署長の指示に従わない場合、青色申告の承認の取消し対象となります。この場合は、指示を受けた事業年度以後の事業年度が取消し対象となります。

(3)隠ぺい又は仮装の場合等における青色申告の承認の取消し

隠ぺい等による不正所得金額が一定額を超えると、青色申告の承認の取消し対象となります。

(4)無申告又は期限後申告の場合における青色申告の承認の取消し

2事業年度連続してその提出期限内に申告書の提出がない場合、2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、青色申告の承認の取消し対象となります。

 
これ以外にも取消事由はありますが、今回紹介した中でも、やはり(4)の事由による承認の取消しが多いように思います。
具体的には下記のケースを良く見ます。
 

・会社が休業状態による無申告が続いた。
・決算処理等が間に合わず、期限後の申告が2期続いた。

 
休業の場合は、再開をしなければ、青色申告の承認が取消しをされても影響はないのかもしれませんが、事業再開の可能性がある場合、青色申告の承認の取消しがされないように、期限内申告を続けるのも一つの方法かと思います。
 
期限後申告の場合についての補足です。
新型コロナウィルスの影響により「災害等による申告、納付期限延長申請」により期限を延長した場合は「期限内申告」扱いになりますのでご安心下さい。ただし、申告期限の延長が認められやすくなったものの、今後は安易な延長申請が難しくなってくると思われます。申請が認められず、期限後申告になり、それが2期連続になると取消しの対象となります。
 
最後に、もし青色申告の承認が取り消されてしまった場合です。
取消しの通知日から1年間は再申請が出来ません。その後、再申請をし、承認されれば青色申告が可能になります。通知日から1年間申請が出来ないという事は、実質的には2期白色申告になります。
 
適正な申告を適正な期限までに行っていれば、取り消されることはまずありませんので、ご安心下さい。

  
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