こんにちは、税理士の嶋﨑です。
最近、「建設業の2024年問題」という言葉を聞くことが多いです。建設業の残業時間規制がスタートするとういう事ですが、具体的にどれだけの規制がありどれだけの影響を受けるのでしょうか。
本日はそのあたりのことを秋元先生におうかがいしようと思います。それでは秋元先生よろしくお願いします。
 

よろしくお願いします。

最近ニュース等で「建設業2024年問題」がよく取り上げられています。具体的にはどのような問題なのでしょうか。

はい。具体的には次の2点になります。
① 時間外労働に上限が設けられる
② 違反すると罰則が科される

先生、以前にこのブログで『働き方改革』を取り上げたと思います。その中で残業規制の話がありましたが、今回も働き方改革の話なのでしょうか。

はい、そうです。以前のブログでは「一定の業種を除いて残業規制が2020年4月からスタートする」というお話しをしました。建設業については現在除外されていますが、2024年4月から時間外労働に上限が設けられます。

今まで建設業が除外されていたのですね。

そうです。建設業は実質的な残業規制が今までありませんでした。人手不足等が主な理由で、残業規制を猶予されていました。同じような理由で運送業についても現在除外されています。
しかし、2024年4月から残業規制がスタートします。今回は建設業についてお話しをさせて頂きます。

先生、時間外労働の上限について詳しく教えて下さい。

はい。法定労働時間を超過した時間が時間外労働になります。

1日8時間、1週間で40時間が法定労働時間ですね。

そうです。現在の時間外労働の上限は1か月45時間、1年間360時間が原則となります。
時間外労働についてですが、前提として36協定を締結して労基署に提出することで時間外労働・休日労働をさせることができます。
違反した場合には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に科せられる可能性があります。

36協定がないとそもそも時間外労働をさせることができないのですね。

そうです。会社と従業員との間で時間外労働・休日労働を行うことの協定が36協定です。36協定には時間外労働の上限時間が法律で定められており、原則として1か月45時間、1年間360時間が上限となります。

よくわかりました。1年間で360時間だとすると1か月平均で30時間ですよね。個人的にはかなり厳しいと思います。中小の建設業は土曜日も仕事で実質的には日曜日だけが休日のような会社も多いように思います。

私もかなり厳しい規制だと思います。建設業以外でも人手不足の業界は多いですので。

何か良い方法はないのですか。

36協定は原則として1か月45時間、1年間360時間が時間外労働の上限となります。ただし、特別条項付きの36協定を締結することにより時間外労働の上限が緩和されます。

例外があるという事ですね。詳しく教えてください。

はい。特別条項付きの36協定を締結することにより、下記のように時間外労働の上限が緩和されます。

① 1か月  100時間未満
② 1か月  年6回までは45時間以内
③ 1年間  720時間以内
※上記時間数をクリアしても、2か月から6か月を平均して80時間以内であることが必要

すこし複雑ですが、原則の上限に比べてかなり緩和されますね。

そうです。例えば建設業の場合、土曜日の現場仕事が多いと思います。1か月単位で考えますと、仮に土曜日に4~5回(32時間~40時間の時間外労働)の仕事があったとしても、特別条項付きの36協定であれば上限をクリアします。

これだと何とかクリアできそうですね。

はい。今までのように無制限ではないですが、特別条項付きの36協定を締結することで、何とか残業規制をクリアして頂ければと思います。

先生、本日もありがとうございました。

ありがとうございました。

今日のまとめ

① 2024年4月から建設業に時間外労働の上限が規制される
② 時間外・休日労働をさせるには36協定の締結と労基署への届出が必要
③ 特別条項付きの36協定により時間外労働の上限が緩和される

  
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