こんにちは、税理士の嶋﨑です。前回は、パートの最低賃金についてのお話でしたが、最近の大幅な最低賃金上昇に伴い社員の最低賃金にも注意が必要との事で今回はその点を秋元先生にお伺いしようと思います。それでは秋元先生よろしくお願いします。
 

よろしくお願いします。

先生、前回は最低賃金の大幅な引き上げ・都道府県別に改訂日が異なる等のお話しでした。今回、社員の最低賃金で会社が注意する点という事ですが、月給の最低賃金については詳しく分かりません。

はい。月給の最低賃金はイメージしにくいかと思います。今回は月給者の最低賃金についてお話しさせて頂きます。最低賃金は1時間当たりの最低時給単価です。パートタイマー等の時給者であれば、最低賃金を下回っていないかの確認は簡単にできます。

都道府県別の最低賃金一覧表で簡単に確認できますよね。

そうです。例外的に産業別最低賃金が適用される場合もありますが、基本的には、都道府県別の最低賃金を下回っていないかを確認するだけです。
 ※産業別最低賃金は過去のブログ(2021.10.28)に記載しています。

最低賃金は時給のイメージがあり、月給者については考えた事がありませんでした。

月給者にも最低賃金は当然適用されます。今回は月給者が最低賃金を下回っていないかを確認する方法についてお話しさせて頂きます。まず、最低賃金の対象となる賃金の範囲についてです。

月給者は、基本給以外に各種手当等が支給される場合がよくあります。各種手当にも最低賃金の対象となる手当、対象とならない手当が決まっているのですか。

そうです。月給者の場合、基本給と各種手当は原則として最低賃金の対象となりますが、下記の手当は例外的に最低賃金の対象外となります。

①通勤手当 
②皆勤手当 
③家族手当 
④割増賃金(時間外・法定休日・深夜) 
⑤臨時に支払われる賃金 
⑥1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

労働の対価として支払われる性質ではないような手当ですね。

そうです。通勤手当は実費負担額、家族手当は扶養家族等の有無等、その他は歩合給、賞与等の性質を持つ手当等となります。

最低賃金に含まれる手当の範囲はよくわかりました。最低賃金は時間単位ですが、時間単価はどうやって計算するのですか。

はい。最低賃金の時間単価は下記の方法で計算します。
● 最低賃金の対象となる賃金総額÷1か月平均所定労働時間=時間単価≧最低賃金

賃金総額を1か月の労働時間で割って時間単価を計算するのですね。平均所定労働時間の計算方法を教えてください。

はい。所定労働時間は、会社が就業規則や雇用契約書で定める労働時間です。会社により1日の労働時間、休日も異なります。所定労働時間は、一般的に月により異なりますので1年の所定労働時間の合計を1か月平均にした時間が、1か月平均所定労働時間です。

お盆休みや祝日が多い月と、そうでない月では1か月の労働時間がかなり違いますね。

そうです。月により所定労働時間が異なりますので平均値を計算する必要があります。
下記を例として、平均所定労働時間を計算し、最低賃金(兵庫県)をクリアするか具体的に計算します。

具体例で計算すると分かりやすいですね。

最低賃金ですが、パートタイマーのような時給者は、毎年必ず確認をしているのですが、月給者についても毎年確認する必要があります。

最低賃金が毎年大幅に上昇しています。月給者の最低賃金にも注意が必要ですね。先生、本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

 

今日のまとめ

① 社員(月給者)にも最低賃金が適用されるので、時給者と同様に毎年確認が必要である。
② 基本給以外の各種手当には、最低賃金の対象となる手当と最低賃金の対象にならない手当がある。
③ 時間単価の計算には、1か月平均所定労働時間の計算が必要である。

  
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