監査二部門の梅本です。

今回のコラムのテーマは、「国庫補助金等の圧縮記帳」です。

ピンとこない方も多いかもしれませんが、昨今の社会情勢で補助金を受ける機会が増えるに伴い、圧縮記帳の適用を検討する機会も増えているはずです。

 

では、圧縮記帳とは何の事なのか。解説していきます。

以前のコラム【「持続化給付金」は課税対象?!】に書いた通り、国等からの補助金は利益となり法人税の課税対象になります。持続化給付金なら、その分売上が下がっているはずですから、給付金が課税対象でも大きな問題にはならないでしょう。

 

では、国等から機械を購入するための補助金を受けた場合を想定してみましょう。

 

機械は10年で減価償却により費用化すると仮定すると

(1)収益 = 補助金収入300万円

(2)費用 = 減価償却費 300万円×償却率0.2=60万円

(3)利益 =(1)-(2) 240万円

 

つまり貰った補助金で機械を買った、現金の手残りが0円の状態にもかかわらず、240万円の利益が発生してしまい、その結果、利益に対して法人税を納める必要が出てきます。納税資金を考えると、機械を買う為の補助金なのに補助金の全額を機械の購入に充てる事が出来ない、というジレンマが出てしまいます。

 

それを解消するための制度が「圧縮記帳」です。

補助金相当額を圧縮損という経費で相殺するのです。

(1)収益 = 補助金収入 300万円

(2)費用 = 機械圧縮損 300万円

(3)費用 = 減価償却 0円

(4)利益 =(1)– (2) – (3)= 0 円

となり、この取引に関しては利益が出ない為、法人税を納める必要がなくなります。

もちろん、メリットだけではありません。

 

本来であれば10年かけて費用化する機械の購入代金を、1年で費用化しているわけです。
その分圧縮記帳をしなかった場合に比べ、残りの9年間は費用が減ることになります。
つまりトータルではほぼ変わりません。あくまでも費用の先取り、その結果の課税の繰延べです。

 

圧縮記帳制度を適用するかしないかで、利益も税額も大きく変わってしまいます。

補助金を申請する場合、いつ利益計上するのか、補助金により資産を購入するのか、色々と事前に検討すべき事があります。早めにご相談下さい。

 

また圧縮記帳には補助金を受けた利益だけでなく、その他の種類の圧縮記帳もあります。

次回以降、そちらも紹介していきたいと思います。

 

 

  
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